まだ終わらない水俣病「水俣病-その30年-」 『水俣病-その30年-』上映用チラシ 4月25日 シグロ <1987年(昭62)>
 まだ終わらない水俣病「水俣病-その30年-」 「水俣病-その30年-」上映用チラシ 4月25日 シグロ 

 中国侵略から太平洋戦争に至る戦火も15年で終わった。水俣病事件は、30年経っても終われないでいる。
 「死ぬまで待てというのか。救済を待ち望みながら死んでいった数百人の犠牲者たち……。ヒロシマ・ナガサキはもとより、記憶に新しい日航機墜落事件(1985年)でさえ領魂の碑が建つ。
 あらゆる外交秘密も30年経れば公開される時代に、チッソは企業秘密を守り、行政は認定制度の秘密主義によって次々と患者を切り捨てている。
 今日、アジアから、世界から多くの環境汚染に悩む人々が、ミナマタにその体験を学びに来ているというのに、一つの資料館も、学ぶ場もない。この水俣病事件の異様さは30年経って初めて鮮かに見えて来たものだ。「水俣病-その30年-」は、この異様さを改めて驚きを覚えつつ作った作品である。願わくば、患者を救済することでこの事件が終わり、映画の記録活動もこの作品で終わることを願う。しかし事件史は、さらに「その40年」「その50年」と記録されていくであろう。
 水俣病事件で痛感したことは、「記録なければ、事実なく、患者の運動なければ、被害”ナシ”」だったからだ。そして今、チッソ・国・県は、水俣病事件を始末すべく劇的に動き始めている。この映画から、それを受け取っていただければ幸いである。