アフガン映画情報 「告知板」 198号11月20日号 庄建設
日本アフガニスタン合作記録映画『眠れる泉くカレーズ〉の復活』(仮題)の第二期ロケ隊9人は、イラン国境近くのへラートの農村に泊り込み、内戦から和平へとむかうアフガニスタンの人々の取材を続けています。以下、最近、現地から寄せられた撮影日誌(土本典昭監督記)から、ロケ隊の活動の一端を紹介します。なお、第二期ロケは11月下旬に終了し、映画は来春公開予定です。
9月27日 カーブル
午後6時20分頃、ホテルに帰ってまもなく近くにかなりの爆発音、ついでサイレンの音。ホテルを飛び出し、バザールのバス・ターミナル付近のロケット着弾地点へ。日没後、すでに夜の暗さのなか、現場は地元の自衛組織の民兵、公安関係、軍、警察、救急車、消防関係者が殺到して消化活動のうえ、死体の収容を続行している。一之瀬正史のカメラで回す。
破壊されたタクシー、トラックの中からの死体収容を撮る。現場に近づくと肉塊を踏む。血の流れていない場所はない。吐き気を押さえながら、殺気立つ警戒、整理の人垣をかきわけシュートする。ちぎれた手首、片足、首を飛ばされ胴体から内臓がずりでた死体、飛びちって車体に張りついた肉片。即物的に見るまま撮る。担架は人体を運ぶ者ではなく、人間襤褸の包みになっている。ここであらたに嘔気に襲われる。非人道的という観念が辛うじて支えだ。
(カーブルタイムスの記事によれば、反政府側のロケット攻撃でこの日死者35人が出た。)
10月4日 カーブル
早朝ロケ。日の出が6時すぎと遅い。裸足にサンダルで出かけたが、爪先が冷えて痛いほどだ。街頭の卸し市を撮る。トマト、玉葱、にら、ほうれんそう、西瓜、メロンなどで野菜の種類は少ない。ホテルで南条直子さんの不慮の死の知らせ。BBCで報じたらしい。地雷を踏んだと言う。「そんな馬鹿なことが……」と絶句する。
10月10日 へラート
現地の案内人のサルワル氏、カレーズ(農業用地下用水)の候補としてミルダウド村を勧める。へラート市から南に約35~40km、ジープとミニバスで行くがかなりの悪路。
このカレーズの撮影は、一見何でもないショットだが、地下数米の井戸に足場の用意もなく、縦穴の淵緑は崩れやすい砂礫。そこを下り、裸足で水に浸かって入る。暗いトンネルをくぐり、バッテリーライトでの凝った撮影だ。それを見ているアフガンサイドは「そこまでするものなのか?」といった驚きというか、意外さがあっただろう。
2時過ぎ、近くの兵站所で昼食を御馳走になる。心尽くしだろうが胃が疲れ過ぎ、羊肉を受けつけない。デザートのメロンで空腹感を癒す。
帰宿後、サルワル氏「今日の撮影は気に入ったか」と尋ねる。彼の奉仕的な態度には好感を禁じえない。「へラートのカレーズ地帯のプロローグとしてまことに良かった」と彼を喜ばせるつもりだったが、「では本題は何か、どんなカレーズなのか」と思ったに違いない。明日からその事を詰めていきたい。
土本典昭・撮影日誌より