解説 『よみがえれカレーズ』上映用チラシ
この合作映画はアフガニスタンがその内戦の苦しみから抜けだそうと新展開しはじめた時期の記録である。撮影はおもに1988年の春から秋にかけておこなわれた。
よく知られるように、アフガニスタンはこの十年にわたって政府軍といわゆる反政府ゲリラの戦いが続けられてきた。人民民主党政府はソ連軍の派兵を要請、イスラム教諸国とアメリカは反政府ゲリラを積極的に援助、その結果アフガニスタンはまさに「兄弟殺し」の戦場となった。越境した難民家族、五百万人というのも想像して絶してむしろ謎に近い。
88年春、「アフガン紛争」は国連のジュネ-ブ和平協定により解決の糸口があたえられた。これによりかねて政府側の提唱していた国民和解政策は一挙に現実味をおびはじめた。
その激動期に焦点をあわせて現地入りしたカメラは、合作映画ゆえにはじめて国境地帯や地雷の埋められていた仏教遺跡、繁華街のロケット爆発現場などそれまで危険を理由に撮影禁止だった諸現場を撮ることができた。
しかしこの一編の主題は内戦のさなかにあって、そのかげに生きているひとびとの生活におかれている。帰国した難民をはじめ、困難な生活に耐える妻たち、カレ-ズ(地下水路)の水を絶やさないように懸命な農民や黙々とモスクを修復する職人、和解工作を計る元反政府ゲリラ指導者、そしてとしなやかに育っていく子供たちなど…いまだに続く戦火にも打ちひしがれることなく、明日に平和を托しながら、したたかに今日の日々を生きるアフガニスタンのひとびとの姿を描いている。