『告知板』よ ありがとう 『告知板』 213号 2月20日号 庄建設 <1990年(平2)>
 『告知板』よ ありがとう 『告知板』 213号 2月20日号 庄建設

 日本・アフガニスタン合作記録映画『よみがえれカレーズ』の有楽町・朝日ホールでの公開試写会より半年たちました。この間、世界の急速な展開を目のあたりにしながら、私は生まれてはじめての入院を余儀なくされ、共同製作したアフガン・フィルムズとの約束である英語版の仕上げを遅れさせてしまいました。来る三月、池袋、文芸座での東京ロードショウは私にとってひとしお嬉しい決定でありました。
 その準備に忙殺されているなか、一月発行の『告知板』の読者のおふたりから、「この映画のナレーションのなかでヘラートの金曜(フライデー)・モスクの起源は『六世紀』とあるが、七世紀の誤りではないか」というご指摘を受けました。そのとおりでした。『西暦六八三年』を私が六世紀と読み取ったミスでした。「六」だから六世紀だと思い込んでのうえです。なんとも無知、不注意によるものでした。早速、庄 幸司郎プロデューサーに連絡、日・英語版とも訂正することができ、本格的上映に間に合いました。『告知板』ならではの力です。ありがとうございました。
 これと同じ時期、いくたびも試写会が開かれ、私もひさしぶりに『よみがえれカレーズ』全編を見る機会を得ました。この映画を企画した時から、思えばまる二年になろうとしています。撮影開始はソ連軍の撤退第一陣からでした。ジュネーブでの「アフガン和平協定」の取り決めどおり、ソ連軍完全撤退は昨年二月でした。しかし、その後も国外に拠点をもつ反政府勢力のロケット攻撃は続き、アフガニスタン政府が進めている「国民和解政策」も実っていません。いまの世界の平和への潮流に残念ながら取り残されています。『よみがえれカレーズ』の主題であったアフガニスタンの「ひとびと」は和平への思いをさらに強めているでしょう。この映画を見てほしいとの願いあらたなものがありました。
 新年早々、チェコスロバキアのプラハから、アフガン・フィルムズのラティーフ監督の年賀状が届きました。映画の完成当時、この映画の共同監督であるかれは、アフガニスタン側の意見として気になる数ヵ所を指摘しました。例えば…カブールのバザールに打ち込まれたロケットのシーンはその遺族にとっては残酷に過ぎはしないか。また、それにつづく老人の反政府的な発言やイスラム教の習慣の細部などでした。しかし同時録音の手法上、手を入れることは不可能なシーンでした。それはやさしく、そして心くばりある意見だけに、帰国後のかれの立場がどうなったかを気に懸けていました。そのかれからの半年ぶりの消息でした。「心の底から健康と映画の成功を願う」というカードは、両国同時公開をまえにして、大いに私たちを励ますものでした。かれも世界のどこかで上映にむけての努力を重ねていることでしょう。
 以上ご報告を兼ね、ここに映画のご観賞を願うとともに、末筆ながらアンケートで誤りをご指摘いただいたF・Nさん、関根正男さんにお礼申しあげる次第です。