過労死の「現在」時点の証言 『ドキュメント過労死』 <1993年(平5)>
 過労死の「現在」時点の証言 『ドキュメント過労死』

 8ミリ映画運動からはじまった映像によるドキュメンタリーが、ビデオに発展し、その位置を確かなものにしつつあることがこの作品にうかがえた。難は短編のまとめといった構成の質だが、中身は長編のボリュームをもっている。このドキュメント「過労死」はたたかいの現場レポートをこえて、この問題のもつ現代的課題としての奥深さに迫っている。
 例えば、後半に展開される、アメリカの自動車工場のゆとりある労働と、“人類史上最高の傑作”「トヨタ」イズムとの比較を、アメリカの仲間に語らせているシーン、「日本人は働き虫」といった通説を、江戸や明治時代の労働観と比べてみる視点、また、この資本の労働管理が全世界に輸出されるであろう必然性など、説得力のある問題提起が出色である。「過労死」が、資本主義そのもののもつ、収拾しがたい「死に至る病」の露呈部分であることが透視されているのだ。それだけに最後の「貴方の労働時間は3000時間に及ぶのでは?」といったナレーションは、むしろこの作品の肺活量を狭めたように思える。 映像の仲間として、この公開のよろこびとともに、ますますビデオの可能性をひろげ、この主題の今後を見せて頂くことを期待する。