批評の大切さ 『民衆のメディア・ニュースレター』 第41号11月15日号 民衆のメディア連絡会 <1999年(平11)>
 批評の大切さ 『民衆のメディア・ニュースレター』 第41号11月15日号 民衆のメディア連絡会 

 初めてのビデオ作品「回想川本輝夫」を持参して参加したドキュメンタリー作家、土本典昭さんの上映の時は、100名を超える観客で会場があふれた。上映後のトークで、土本さんが「川本輝夫」や「水俣」に対する思いを切々と語ると、もらい泣きをする人も多くいた。以下は、21日のシンポ「つくる・見せる・変える」のおける土本さんの発言である。 
 「私はビデオを手にしてとても驚いた。この小さな中に性能が詰め込まれている。フイルムの歴史にはリップシンクロと言って音と映像を併せるのに大変苦労してきた。いま僕が制作を始めたとしたら、まちがくなくビデオを選んだだろう。
 今の時代は、映像が溢れていてヨコを見ると余りに刺激が多く、振り回される。ぜひ若い制作者の皆さんには、映像の歴史をタテに見てほしい。映像の歴史は100年ちょっとだが、先達たちが現実を記録するために努力してきた痕跡の中に、学ぶものがたくさんあるはず。また、そこからしか新しいものは生まれないと思う。
 確かにフイルムとビデオは、技術的に違うが、制作という点では変わらない。作品の質を高めるのに、一番大事なのは、仲間の率直な意見を聞くこと。自分はこれでいいと自惚れてしまう「自らのナルシズムとの闘い」でもある。そして自分のフイルム(ビデオ)を何回も何回も繰り返し見ること。つくるだけなく、批評ということの意味をぜひ考えてほしい」
 (要旨・文責=編集部)